僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――――……
威光の本拠地であったビルの屋上に、俺は未だに佇んでいた。
俺が作った本拠地は、また別のところにある。この場所だけは、ヒカリの場所で在って欲しくて。
ここで過ごした思い出も、ヒカリにもらった言葉も、忘れないように足を運んでは、自分を呪った。
祠稀という、ふざけた名前ですら恨めしい。
稀で貴重な、死んでも神様の如く祠が作られ、祀られるような人間になるようにと付けられた、バカバカしいにもほどがある名前。
皮肉なものだと思った。シキはシキでも、子規というほうが合ってる。
夜に啼き、自分の手を極力使わず、他の者に仕事を託す。まるでホトトギスそのものだと思った。
俺の名前を綺麗だと言ったヒカリに、後悔も、罪悪感もないと言ったら嘘になるだろうか。
俺を救ってくれた威光を、復讐のためだけに使い、汚して。ヒカリにもらった言葉の数々を、裏切るような生き方をして。
無意識に流れる滴が、いつも俺を悩ませる。
それでも俺は、仲間を集め続けた。汚い大人たちを、潰し続けた。愚かで、滑稽でいいから。自分の存在意義を、威光に秘めた。
そうすることでしか生きられなかった俺は、中学卒業と同時に親父から家を出てけと言われた。
家族というものを、捨てられた。俺がそう仕向けたから。
待ち望んだ、結果。
そう、思うのに。
凪たちと出逢ったのが、唯一の間違いだったかもしれない。