僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「素行は悪いかもしれないけど、とても強くて、優しい人です。あたしは何度も祠稀に助けられました。きっと他にも、たくさんいますよ? 祠稀に助けられた人」
まっすぐ、枢稀さんの瞳を見て言った。その心の内の企みを少しでも躊躇させるために。
枢稀さんの瞳が揺れたのを確認してから、あたしはにこりと笑顔を作る。
「だから、祠稀がいなくなったら困る人たくさんいますね、きっと」
ふふっと笑えば、先生たちも「あ、ああ、そうだな」と乾いた笑いを漏らす。
実質、祠稀はこの学校のNO.1で。いくら祠稀自身の生活態度が悪くとも、荒れていた2、3年生を静めたのは祠稀であることを、先生たちも重々承知なはずだ。
「じゃあ、見回り頑張ってください」
「ああ、阿も気をつけて帰るんだぞ」
去っていく先生たちにさようならと告げて、枢稀さんと目があったので微笑んだ。
逃げるように立ち去る枢稀さんの背中を見送り、あたしひとりしかいない廊下で携帯を覗く。
「あ……」
「メール届いてるね」
「!?」
急に現れた人影に驚き、声も出せずに仰け反ると、そこにいたのは見慣れた2人組だった。