僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「あの……あの今、枢稀さん……祠稀のお兄さんが今、先生で、それで今……」
「あーはいはい、落ち着きぃや。分かっとる、俺ら分かっとるから、な!」
ぽん、と頭を叩かれる。
温かいものが胸に沁みて、落ち着かなければと自分に言い聞かせた。
未だ全ては把握しきれてないけど、ただひとつだけハッキリしてるのは、大雅先輩と遊志先輩は味方だということ。
「聞いてたし、分かってるから。枢稀って奴、祠稀くんが出歩いてるのを知ってて、それを利用して退学にしたいみたいだね」
「きゃー! 大雅先輩ってばかっこいー! 名探てぐへっ!」
……遊志先輩の首からグキッて変な音が出た。
それはもちろん大雅先輩が技をかけたからで、本人は涼しい顔をして「行くよ」と声をかけてくる。
「ちょお大雅ヒドくなぁ~い!? 俺が有須ちゃんの心の声を代弁してあげ……嘘やん! 遊志のお茶目なジョークやんけ!」
「いらないんだよ、そういうのっ」
ぎゃーぎゃー騒ぐふたりを見ていると、無条件に緊張していた心がほぐされる。
思わず笑ってしまうと、ふたりは不可解そうにあたしへ視線を注いだ。