僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……ありがとうございます。協力、してくれて」


そう微笑むと、遊志先輩は「えぇ~! 照れるやーん!」なんてお茶らけてみせた。


大雅先輩はそんな遊志先輩へ汚いものでも見るような目つきを送ってから、あたしに向き直る。


少し、照れくさそうな顔をして。


「別にそんなんじゃないよ。俺には偉そうなこと言っといて、自分はどうなんだって言ってやりたいだけ」

「……ふふ。はい」


笑うと大雅先輩は納得してないようだったけど、すぐに歩き出す。


「早く行くよ。俺らは教師より先に祠稀くん見つけなきゃ、ヤバいんだから」

「おっしゃあ行くでー! ゴーゴー大雅っ! ゴーゴーおーれっ!」

「遊志。殴られるのと叩かれるのと、はたかれるの、どれがいい?」

「それ全部一緒やん……! ぜひ寸止めでお願いぎゃー!」

「ちょ、ふたりとも喧嘩しないでください!」



騒がしい3人の影は、椛の散る夜に溶けていく。


今から向かう場所が決して楽しいだけの場所ではないと分かっているからこそ、心を奮い立たせて、歩み寄る。



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