僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


俺だって言いたいのに、謝るなと言われて。


俺だって謝ってほしくないのに、先に謝られちゃ、どうすればいいのか分からない。


でも、でも……。

今言いたいことはあるんだ。

まっ先に、何よりも、謝るより先に言いたい言葉。


「……はは。お前、怒ってる時もだったけど、泣いても綺麗な顔してんのな」


リュウは、泣いてもリュウのまんまだな。その言葉は呑み込んで、口を開いた。



「……逢いたかった」


やっと、紡いだ言葉。声が震えてダセェって思ったけど、それでも続けた。


「ありがとう……逢いに、来てくれて」


2年前のあの日々は、夢だったんじゃないかとさえ思った日もあった。でも、今は現実だ。


リュウが、ユナが、2年前より少し大人になって、俺の目の前にいる。


確かにここに、いるんだな。


ふたりの存在が、懐かしい俺らの空間が、ヒカリの存在を感じさせる。それが嬉しくて、悲しくもある。


でもやっぱり、幸せに思うから。


「……笑った。ね、リュウ」

「……ああ。笑った、な」

「……ウッセーよ」


椛は全て落ちきった秋晴れの朝。


2年ぶりの再会は涙なしでは無理で。だけど最後に流れた涙は、嬉し涙だった。

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