僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「やべ。鼻赤くて、俺ダサくね?」


ユナの鏡を覗きながらリュウが呟き、ユナはあろうことか俺の脚に顔を擦りつけている。


「……鼻水は勘弁してくんね?」

「うん……大丈夫だよ」


絶対嘘だと思いながら、俺は棚に置いてあったティッシュを2枚取りユナに手渡して、箱をリュウに投げつけた。


「イッテ! 投げんなっつーの!」


そう言いながら鼻をかむリュウに笑って、俺はまだ少し熱を持つ瞼を触りながら、疑問に思っていたことを聞いてみる。


「なぁ……チカと、彗と知り合い?」

「あ? ……ああ、まあ簡潔に言えばチカの親の件。あれは俺らが協力したっつーか、お前のこと調べてたら、右腕のチカが気にかかって、電話相談的なことを」


……ああ、そういうことか。


チカはたまに家に帰るけど、昔の俺みたいに帰るたび虐待されてたから……。リュウが、ほっとくわけない。


チカひとりの携帯番号を手にいれることなんて、リュウには簡単だ。


「まあ最初は即行電話切られたけどな。でも名前言ったら、俺のこと知っててビビったよ。お前の話やたら聞きたがるし、ありゃ自慢の弟だな」

「……だろ」


自分のことでいっぱい一杯だったはずなのに、チカは昨日、凪たちと一緒に俺を探てくれたんだろう。


俺が見つかった後、リュウたちと合流して母親と義父を……。


「俺はけっきょく、何もしてねぇ……」


ほんと、何してんだ俺は。
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