僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「ちゃんとリーダーもやってるし、親友もいるじゃねぇか」
「……やめろよ」
なんなんだ。俺をわざと泣かせたいようにしか思えない。
俺が復讐に苛まれて、威光の仲間も同居人も受け入れきれてなかったことを知ってて、言ってるんだろ。
もう、何も苦しむことはないって。2年前に失った仲間というものを、俺は再び築けているって。ひとりじゃないって言ってるんだろ。
分かってる、分かってるよ。俺はもう、覚悟はできてるんだ。
「……守りたいんだ……今度こそ」
片手で両目を覆って、俺の視界は真っ暗闇になる。
昨日、親父に突き飛ばされ、頭を打って意識が遠のく中で、俺は後悔して泣いたんだ。
凪が現れたって、包丁を振り下ろすことはできたのに。こんな俺は嫌だと思った。凪が現れて、俺は凪にヒカリを重ねた。
憎い、憎いに決まってる。今でも、ケリをつけなければならないと思ってる。
でも、ヒカリに怒られる。きっと泣かれる。親父を殺したって、なんの解決にもならないでしょって。
「守ってたじゃねぇか」
「……」
顔を上げずに、俺はリュウの言葉に黙る。少しの沈黙の後、リュウはもう一度同じことを言ってから、続けた。
「お前が作った威光の始まりは、俺らの時とは違ったけど。始まりだけだろ、違ったのは。中身は一緒だったじゃねぇかよ。昨日、どんだけの人間がお前のこと探してたか知ってっか?」
……知らない。
知らねぇけど。チカを筆頭に、思い浮かべることはできる。
俺は俯いて、目を覆って、ただじっとリュウの言葉に耳を傾けた。