僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「お前らみたいな子供だらけの組織が、2年もあの街でトップだった意味が分かるか? 悪い奴は昔と変わらずいるよ。でも、純粋にあの街を楽しみたい奴らは、威光に感謝してんだよ。“祠稀が作った威光”に、感謝してんだ」
「……そんなことねぇよ。俺は、自分のためだけに動いてたんだ」
そう言いながら、俺は確かに感じていた。
昔の威光のように、ヒカリやリュウみたいな大人がいない今の威光が、2年もあの街で過ごせたのは、健全な店の奴らが、強力してくれてたんだ。
分かってたけど、俺には関係ないと言い聞かせていた。
「……分かるか? 祠稀がいるから、祠稀の威光が在るから、あの街は嘘だらけじゃなくなった。……ヒカリが守ってた街を、お前は守ってたんだ。復讐とか考えてようがなかろうが、お前はちゃんと、ヒカリの意思を継いでるじゃねぇかよ」
「……やめろって……俺は、謝りたいんだ」
「だから、謝るなって言ったんだ。ヒカリが亡くなっても、俺らはヒカリの意思を継ぐべきだったのに。ヒカリはそれを望んでたはずなのに、俺らは放棄した。……それをお前はたったひとりでやってのけたんだ。謝る必要なんて、ねぇだろ」
……もう、言葉が見つからない。
否定したくても、リュウは俺を責める言葉を言わない。ここに来て一度も。これからも、責める気はないんだろう。
じゃあ俺はどうすればいいんだ。
なんて、もう決まってるくせに。
「……あのね、祠稀。だから、あたしたちもヒカリの意思を継ぐことにしたの」
カサッと、何か紙のようなものが擦れる音。指の隙間から覗くと、足元に座るユナが、手に書類のようなものを持っていた。