僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――その後すぐに、警察とマスコミに親父と天野の情報をリークして、証拠で埋め尽くされた書類をFAXで送った。
警察はすぐに動き、その日の夕方、親父と天野は逮捕され、母さんは無事保護された。
彗の思惑通り、親父は自分の携帯の電源を切っていて、母さんが隠し持っていた彗の携帯だけは電源が入っていたから、居場所を特定できた。
母さんへの虐待は、リュウが親父への脅しに使ったらしい。裏カジノと闇金、脱税なんかもやってたみたいだけれど。その罪を償って出て来た時に、改心してなかったらもう一度ブチ込むと。
俺はきっと、ヒカリもそうすると思ったから、そう教えてくれたリュウにただ頷いた。
次の日、親父と天野のことはニュースになった。でも、中心は警察である天野の話ばかりで、親父以外の仲間も何人か逮捕されたが、何回か名前が出ただけだった。
俺の気分は晴々としてるわけでも、落ち込んでるわけでもない。
笑いたいか泣きたいかと聞かれたら、泣きたいかと思う。でも、人の温かさを感じたいとも思っていた。
端でも、中心でも、どこでもいいから。
ただそこに、在りたかった。
「寂しいって、顔に出てるよ」
「……凪か」
念のためと言われた検査を全て終え、俺は今日退院する。凪たちは邪魔になると思ったのか、昨日はすぐに帰ったらしい。
リュウとユナがいるなら大丈夫だと思ったんだろうけど、俺はできれば残っていてほしかった。
……これが寂しい、ね。
ガラじゃねぇなと思いながら、この気分を取り払う方法も知らないし、取り払う気にもなれなかった。