僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
◆Side:有須
「……和解?」
「うん、したみたい。よかったぁ……」
「家族愛、えぇなぁ……泣けるわぁ」
「遊志、黙って。あと重い」
「……ねぇ、いい加減やめなよ。ダサいし、怪しい」
ドアの隙間から病室を覗く4人組の後ろから、うんざりした声がかけられる。
一斉に振り向くと、声の主、チカが軽蔑するような目であたしたちを見ていた。少し離れていて、知り合いに思われたくない様子。
「なんやねんチカぁ~! お前だって心配して来たくせに!」
「一昨日知り合ったばっかの人に、呼び捨てされたくないんだけど」
「あはは。年上に向かって凄い口の利き方」
「僕、祠稀以外に敬意払うとか無理だから」
にこにこと笑う大雅先輩とチカの間に不穏な空気が流れ、あたしはさっと止めに入る。
「喧嘩してる場合じゃないですっ!」
割って入るとチカがあたしの後ろに隠れ、ベーッと舌を出す。
それを受けた大雅先輩の口元が引き攣り、慌てたあたしはチカに「ダメでしょっ」と怒った。
「イタッ!」
「……チカ」
あたしが背中に頭突きを食らうと、彗は溜め息をつきながらチカに手招きをする。
チカはこのメンバーだと彗をいちばん慕っているのか、素直に言うことを聞いた。
「……ていうかさぁ。なんか事件のことより、リークされたほうが話題になってきてるよね」
病室を覗くのをやめて、それぞれが壁に寄りかかると、大雅先輩が話し出す。それに続く遊志先輩は大袈裟に頷きながら、ニュースキャスターの真似をした。