僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「匿名で送られたと思っていたFAXには、最後の一行に小さく“DAWN”と書かれていました! これは自警団か何かの名前ですかねぇ……。って話ばっかやもんなーっ」
「威光って書けばよかったんじゃないの?」
大雅先輩が言うと、チカはくすりと控えめに笑う。
「そんなんだから祠稀に出し抜かれるんだよ」
「……チ、チカッ!」
わざわざそのことを掘り返さなくても……!
大雅先輩の微笑の裏に恐ろしさを感じた時、彗がチカの肩に手を置いた。
「チカ。……めっ」
「「「「………」」」」
鈍い音がすると同時に、彗はチカに脛を蹴られた痛さに顔を歪ませる。
「子供扱いしないでくれる?」
「……痛い。……年上に囲まれてはしゃいでちゃ、子供でしょ」
「チカッ! 彗も! ここ病院だよっ!」
チカが拳を引くと彗が構え、あたしが止めに入った瞬間、「うるさい!」と凪が現れた。
「何やってんのバカども! 有須に迷惑かけないの!」
チカも彗も凪が現れると拳を収め、大雅先輩は顔を逸らして、遊志先輩はへらっと笑った。
……さすが凪。大家族のお母さんみたい……なんて言ったら、般若になるからやめとこう。
「もう、来たならさっさと入りなよ」
「ご、ごめんねっ! お取り込み中だったみたいだから!」
「だってよー、祠稀」
凪が踵を返して病室に入ると、床に膝を付いていた祠稀が立ち上がり、あたしたちに顔を見せてくれた。