僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「はっ。マジで全員来てんのかよ。つーか、じゃんけんの意味は?」
……祠稀だ。
当たり前なのに、とても久しぶりに会った気までする。
「ちょー、なんやの祠稀くーん。もっとこう、来てくれてありがとう! 俺嬉しい!ってくらい言えへんの?」
「……俺、アンタとそこまで親しくなった覚えないんだけど」
「っきー! 憎たらしいっ! 凪、アカン! 俺泣く!」
「泣けば?」
すがりつかれた大雅先輩も巻き込まれ、チカと彗以外は騒がしくなる。祠稀は「何しに来たんだ」って言いながら楽しそうで、あたしはくすくすと笑った。
「おばさん、具合はいいの?」
「……うん、平気よ。チカも、ありがとうね」
凪たちが騒ぐ中で、チカがおばさんの前に立つ。お礼を言われたチカは小さく首を振って、微笑んだ。
すると、おばさんが祠稀の名前を呼んで、チカを自分の隣に座らせる。あたしも彗も顔を見合わせて、凪たちも気付いたのか、病室は騒がしくなくなった。
「あのね、分かってると思うんだけど。……離婚、するから」
「……ん」
祠稀は驚くこともなく、ただ離婚という言葉に頷いた。
「たぶん裁判になるだろうけど、親権とか、あの家の所有とかも、母さんのものになる。……言わずもがなかもしれないけど、一応」
枢稀さんが付け足すように言うと、祠稀はどこか落ち着きなく髪を耳にかける。
チカはおばさんの隣で俯いて、脚をブラブラさせていた。