僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……それでね、暫くはあの家に住むけど。いつかは、引っ越そうと思うの」
「ああ、趣味ワリィもんな、あの家。外見はマシだけど」
「……ふふ。そう……ね」
おばさんのつまずいた言葉に目を見張る。
どうして、泣いてるんだろう……。
旦那さんが逮捕されたのだから、きっとあたしたちが考えるよりも、いろんな感情がおばさんの胸を埋め尽くしてるんだ。そう、思ったけれど。
おばさんが発した言葉は、母親らしいものだった。
「一緒に、住まない?」
今さらかもしれないけど、もう一度、やり直したいと。あの家で、家族の再スタートをできないかと。おばさんは言った。
祠稀は動揺を隠さず、あたしたちは驚いていた。
「お母さんと、枢稀と、祠稀と……それから、チカも一緒に。……嫌なら……っ」
「一緒に住もう、祠稀」
おばさんの言葉を遮るように肩へ手を置いて、枢稀さんは祠稀を見つめる。真剣な表情で、家族の再スタートを願ってる。
――最初に思ったことは、4人で暮らせなくなるのは嫌だということ。
でもそれはきっと彗も凪も同じで、すぐに家族と暮らしたほうがいいと思ったはずだ。
「そうしなよ。一緒に暮らしたほうがいいに決まってる」
うん。少し、寂しいけど。
「……て、いうか、この状況でマンションに戻ってきたら、俺らは怒る」
うん、そうだね。
「あたしたちとは学校で会えるよ。クラスも一緒だし!」
だから、ね。
「……僕、祠稀が泣いたの初めて見た」
泣くことないよ、祠稀。