僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――俺の言った頑張れは、祠稀が捉えた頑張れとは少し意味が違う。
始まったばかりの恋が成就するよう願った頑張ってじゃない。
どれだけ伝えても届かぬ恋に、めげずに頑張ってという意味だった。
複雑だ。とても、とても。
凪を傷つけたら怒る、なんて。本当に傷つくのは祠稀なのに。俺は、最悪だ。
応援したい。協力したい。
でもできない。
それで凪が救われるのなら、いくらだって協力するのに。
祠稀が大事で、大切なくせに。それよりもっと、もっと、俺の中で凪は別次元だ。
他の誰とも比べることはできない。凪以上に大事で、守りたい人はできない。
「つうかさ。彗って、有須のこと好きなんだと思ってた。人としてじゃなくて、異性としてな」
「……俺、よく分かんないから。恋とか、愛とか」
俺はきっと、一生恋をしない。
もし、恋をしたとして。
……有須を、好きだとしても。
俺は、想いを伝えることはしない。
凪が、“サヤ”を忘れない限り。
凪が俺を必要とする限り、俺は凪のそばにいると、決めたから。
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