僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「見た? あの驚いた顔」
息を切らして祠稀の隣に並ぶと、「傑作」と意地悪な笑顔があたしに向けられる。
「お、驚くよふつうっ!」
「つーか、何呼び捨てにしてくれちゃってんだ。あのオレンジ頭」
それくらい驚いたってことだと思う……!
乱れる息を無理やり整え、あたしはどういうことなのか問いただす。
「祠稀、凪のこと好きってことだよね? ほんとに?」
「まぁなー。彗も知ってる。昨日言ったから」
……彗に言ったんだ。
……大丈夫だったのかな? 祠稀の様子からして、反対されたわけじゃない、よね。
「頑張ってとか言われた。けど、なんの頑張れだよって感じ?」
にやりと笑みを浮かべる祠稀に首をひねる。
なんのって、応援されたんじゃないの? そう思ったのに、祠稀が笑ったのは別の意味だった。
「ま、お互い頑張ろうぜ」
「……うん。……えっ!? 何が!?」
返事をしてから気付いて、首から上が急に熱くなる。そんなあたしを見下ろしながらニヤニヤする祠稀は、とても楽しげだ。
「バレてないと思ってんのか? 好きなんだろ、彗のこと」
「えっ、なんっ、~っなんで知ってるの!?」
あたし、そんなに分かりやすい!?
真面目に聞いたのに、あろうことか祠稀はあたしの顔を見たまま吹き出した。
「ぶふっ……! マジ、有須最高」
「真面目に聞いてるのに!」
「いやだから、カマかけただけだし」
「え!? ……嘘ぉ~。やだもう、祠稀のバカ!」
ケラケラ笑う祠稀の腕に、威力のないパンチをお見舞いする。