僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
カマかけたって……それって結局、好きなんだって思われてたってことでしょ!?
バレた、恥ずかしい。あたしのバカ。バレた、どうしよう。恥ずかしい恥ずかしい……!
「まーまー、いいじゃん。仲間できて」
混乱するあたしの頭上から呑気な、でも心強い言葉。きっとまだ顔が赤いだろうけど、祠稀を見上げる。
いじめっ子みたいに口の端を上げて、それでも楽しそうな祠稀を見たら、否定する気もなくしてしまう。
……祠稀と凪かぁ。うん、美人同士お似合いだと思う。
あたしはまだ、告白とかは考えられないけれど、祠稀が頑張るなら、勇気をもらえるかもしれない。
「でさ、凪に伝えといてくんね?」
「え!? 何を!? 好きって!?」
「ちげーよ!」
マンションまであと数分で着くところで、祠稀は笑う。
月光を浴びて、歌うように紡がれた言葉に、少し泣きそうになった。
「……ふふ。伝えるか迷っちゃう」
「ま、言うか言わないかは有須が決めて」
ああ。祠稀、本当に幸せそう。もうきっと、闇に呑み込まれることはないんだろうな。
愛を知らないなんて、本人が気付かないだけで、本当は知ってる。
人に愛されることを、人を愛することも。その喜びも、幸せも。
気付けば周りは、愛で溢れてる。
「送ってくれてありがとう。また明日ねっ」
「おー、またな」
駅の前で別れ、あたしと祠稀はお互いに背を向ける。それでも、繋がってる。
あたしと、祠稀と、彗と、凪と。離れていても、分け隔つ壁があったとしても。
心が、絆が、繋がっていれば。いつだって惹き合える気がした。
.