僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
◆Side:凪
自然と重い瞼が開けられ、まだ薄暗い部屋に再び瞼を閉じた。
ヒツジを数えてみたけれど、柵の向こうへは跳んでくれないヒツジたちに眉を寄せ、すぐに諦める。
仕方なくけだるい体を起こすと、お腹の下あたりに鈍い痛みが走った。
「いっ、たいな…………はぁ……何やってんだろ」
ぐしゃぐしゃと握るように乱れた髪を梳かして、ベッドから腰を上げる。
部屋を鈍色に染め上げる早朝は好きじゃない。カーテンを開けても部屋に差し込む光はなかった。
「……曇りか」
どんよりと空を彩るのは灰色だけ。
壁にかかる時計を見上げれば、6時を回ったところだった。
ズキズキと、脈打つように頭が痛む。
今日も学校に行かなきゃ、だめかなぁ……。
特別体調が悪いわけじゃない。頭は痛いけど、そんなのは薬を飲めば治る。
今のあたしは拗ねてる、不機嫌。そんな言葉しか当てはまらない、子供。
じわりと浮かんだ涙は、流す前に拭った。
朝食を作ろう。心配してくれた彗と有須のために、普段より少し頑張った朝食を。