僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――――…
11月中旬。ちくちくと肌を刺すような冷気を含んだ風は、冬を感じさせる。
だから、いつにも増して温もりを求めてしまうのかもしれない。
「納得いかねぇー」
公立高校の冬は厳しいなと思っていると、祠稀が険しい顔で彗の首に腕を回していた。
お昼の時間、珍しくあたしたち4人が学食に来てるのをいいことに、遠慮のない視線が体中にまとわり付く。
「……苦しい。祠稀、苦しい」
「祠稀っ! 彗が窒息しちゃうよ!」
ギチギチと音でも出るんじゃないかと思うほど、祠稀は彗の首に腕を絡めているから、有須が焦っている。
「全く浮かばねぇ。おい、彗。お前はどうせ知ってんだろ」
あたしに秘密がないということに、祠稀はまだ納得がいかないらしい。
思い浮かばないなら、それでいいじゃん。どうして祠稀はそこまでして知りたがるんだろう。
なんて、理由はよく知ってる。
解放された彗を心配する有須と、壁にかかるメニューを眺めるあたし。
横から感じる視線に気付かぬふりをしても、祠稀は遠慮なしにあたしを見つめてくる。
自分に向けられている女子の視線を完全にシャットアウトして、あたしだけを瞳に映して、何が楽しいんだろう。
「……見過ぎ」
メニューから祠稀に視線を移すと、危うく切れ長の瞳に呑み込まれそうになった。