僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「ま、ここにいる全員、不毛な片思いしてるってことかな?」
「不毛かどうかは自分で決めるっつーの」
「はは! まあそうだけど。……凪ちゃんは難しそうだよねぇ」
さっきからコイツは、いったい何を分かったような口をきくんだ。
睨むと、大雅はくすくすと笑って立ち上がる。目線で追いかけると、見下ろされて余計腹立たしい。
「考えれば分かるんじゃない? 俺が言えることじゃないけど……あー……だからあの時、泣き喚きもしなかったのかって、感じ?」
……あの時?
俺が眉間に皺を寄せたのを見て、大雅は軽く有須を見遣る。
あ、と思ったと同時に「行くよ遊志」と大雅が言って、遊志が腰を上げた。
「ほなまたね、おふたりさんっ!」
自分は大雅に聞くとでも言うように、遊志は大雅の後を追って屋上を後にした。
「なぁ。有須が体育倉庫に閉じ込められた時って、凪も一緒だったじゃん」
「え? あ、うん……」
埃っぽい体育倉庫に、男が4人。乱れた制服。泣いていた有須。
アイツは―……。
「凪って、抵抗とかしてたか?」
未完成のジクソーパズル。
見当たらないピースが、少しずつ見えてきそうだった。