僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
――――…
「「ただいまー」」
部活を終え、有須とふたりそろって帰る時間。今日はいつもより早かった。
学校では何気なく会話していたけど、凪はどこかボーッとしていたし、彗は気まずい雰囲気こそ出さなかったものの、俺と有須の想いには気付いてるようだった。
「ちょっと濡れたな」
「そうだね。先、お風呂に……あれ? ない……」
有須の視線を追うと、玄関にはいつも通り凪と彗のローファー。だけど、彗のスニーカーがない。
「買い物じゃねぇの?」
凪はいるのかと思いながら言うと、有須は「傘持ったかな」と心配そうに呟く。
朝からどんよりとしていた雲は、案の定雨を蓄えていたらしく、突然の雨に部活動のほとんどが中止になった。
「女バレもラッキーだよな。外練の時に雨に降られるなんて、体育館使ってるバスケ部とか頑張れって感じ」
「あははっ! そうだね。先輩たちも筋トレ嫌そうだったし、ラッキーだったかな」
廊下を歩いてリビングのドアを開けると、そこは静寂に包まれていた。見ると、帰ってくるといつもテレビの前あるにゲーム機がない。
「……っと」
歩みを進めると、ソファーの上に凪が横になっていた。
「寝てるみたいだね」
潜む声で有須が言うと、テーブルの上にメモが置かれてるのに気付く。手に取ると、彗の文字で『夕飯の買い出しに行ってくるね』と書かれていた。