僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
無言で有須に渡すと、納得した様子でメモをテーブルの上に戻した。着替えてくると小声で言う有須に頷いて、俺は凪の頭側に腰を下ろす。
……今日は、珍しく眠かったとか?
小さな寝息を立てる凪の顔を見ながら、顔にかかる髪を避けてやった時だった。
閉じられた瞳から滲み、スッと落ちた涙。
“サヤ”と、泣くように呟いた名前。
見当たらないピースが、見つかった瞬間。だけど見つかっただけで、どこに当てはまるのか分からない。
「……それが、お前の秘密か」
大雅の仲間にヤラれそうになっても、怖気づかなかったのも。
遊志や俺に、期待を持たせるようなことを言ったのも。
有須が彗を好きなこと気付いてるはずなのに、彗から離れないことも。
全部全部、サヤと言う男に繋がってるんだな?
過去に何があったのか。
どうして家を出る必要があったのか。
なんでこのマンションで、同居人を募ったのか。
何も秘密がない?
俺の考えすぎ?
――上等だよ。
悪いけど俺は、遠慮なんてもんはしねぇ。
寂しいと言うなら、俺が満たしてやる。
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