僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……祠稀って、へこんだりしないの?」

「はぁ? 何に」

「……彗と、凪の関係に」

「へこむっつうか、イラッとするわ。くっつき過ぎなんだよ!って思ってますけど?」


言いながらあたしを見下ろした祠稀が、バツの悪そうな顔をする。だって、あたしが思いっきり驚いた顔をしたから。


「んだよ。俺だって嫉妬くらいするっつーの」

「ご、ごめん! 意外すぎてビックリした…!」


あたしだけ、ヤキモチ妬いてるんじゃないかとばっかり。


……そっか、祠稀も妬くんだ。ちょっと安心したかも。


「まあ好きだって気付く前は、ハイハイって感じだったけど。今となっちゃウザい光景でしかないわな」


首の後ろを掻きながら言う祠稀は、どこかしら照れくさそうで、あたしは自然と口の端が上がる。自分も同じようなものだったから、同士を見つけたみたいで嬉しくて。


それでもやっぱり、この恋は叶わないんじゃないかと思ってしまうあたしは、捻くれてるのかな。


「お互い、頑張るしかねぇよなぁ」


そしてやっぱり、落ちてばかりなあたしの気持ちは、祠稀の言葉で浮上する。


「ふふ。そうだね。……とりあえずサヤさん、かな?」

「ほんっとだよ、誰だと思う? あ、コンビニ寄る」

「うん。……でもさ、中学の頃の話なら近くにはいないんじゃない?」

「だよなー」


いらっしゃいませーと店員さんの声を聞きながら、飲料コーナーに向かう。


あたしはチルドタイプの飲み物を眺めながら、たまには好きなだけ食べようかとぼんやり思った。
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