僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
……あたしには、彗が苦しそうに見える。
彗もこのままでいいとは、思ってないんじゃないの……?
そんな分かったような口を利ける勇気はなくて、あたしはその思いを胸の奥に仕舞い込む。
「……つうかマジ、意味分かんね……」
「……祠稀」
これもまた、分かった風な口は利けないけれど。
あたしが思ってるよりもずっと、祠稀は凪のことが好きなんじゃないかと思った。
彗がひた隠しにしていた凪の秘密は、バレたらアッサリと話してくれてるようで、そうでもないように感じる。
それは、サヤさんと凪の間に何があったのか明確に知らないから?
でもきっと彗は、話してくれるつもりはないんだ。
分かってる、けど。
「……好きじゃないなら、どうして会いに行くの?」
祠稀が凪のことを知りたいと思うように、あたしだって彗のことが知りたい。出過ぎた真似だと思われても、鬱陶しく思われても。
聞くことをしなければ、真実に近付けるわけがない。
「……好きとか、そんな次元じゃないから。凪が、サヤに持ってる想いは」
「「……」」
そ、れは……どういう意味だろう。大嫌いだと、凪は言っていたけど。
彗は短く息を吐くと、ソファーに寝転ぶ。
あたしも祠稀も黙っていると、微かな息使いの後、彗はテレビの画面を見ながら口を開いた。
「……凪にとって世界でいちばん愛してる人で、世界でいちばん憎くてたまらないのが、サヤ」