僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「凪が望むなら。……先にイッてもいいけど、俺は続けるからね?」
そう言われた瞬間、容赦なしに重みのある質量に突き上げられた。
「……っ、あ、……っ!」
薄いゴムのせいか、生々しい感触のそれが大きくグラインドし始めて、声が震えた。打ち付けられるたび、突き抜けるような快感が背中を走り抜ける。
「……苦し……っ」
「はっ、好きでしょ……苦しいのっ」
あたしを見下ろす両の目が、情欲の色を孕んで。嬌声を上げるたびに、厭らしく口の端を上げられた。
ラブホテルの一室に響く水音と荒い息使いは耳まで犯し、生理的な涙を流しても、与えられる快感に陶酔する他ない。
熱を持つ体をどうにかしてほしくて。募るばかりの想いを消してほしくて。
強い刺激に焦がれるあたしは、相当頭がイカレてる。
欲しいのは、こんなものじゃないのに。本当は、セックスなんて必要ないのに。
一緒にいれば、そばにいられたら、それだけで充分なのに。あたしは、あたしを、サヤに植え付けたい。
あたしなしでは生きていけなくなるほど、求めて欲しい。
「……っサヤ、あ、イッ……あぁっ!」
体が震え、突っ張っていた体が力を失っても、行為は続けられる。幾度も、幾度も、離れていた分埋めるように。
沈んで、堕ちて、朽ちて。
いっそこのまま死んでしまいたいと思うほどに。
『子供ができたんだ』
そう言ったサヤの幸せを、感じ取ってしまわないように。
あたしはこの晩、泣きながら、幾度も果てた。