僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……凪、大丈夫だよ」


何が?
どうして?


何が大丈夫なのよ。

どうして大丈夫なのよ。


そんなことは聞かなくたって分かってる。そばにいてくれるんだって、分かってる。


「凪」


緩く頭を上下する彗の手が、どうしようもなく愛しい。

でもやめてほしい。


そんなものは、今はいらない。


「優しくしないで」


そう言って手を振りほどいたのに、彗は再びあたしの頭を撫でる。


「頑張ったね」

「っ、やめてってば……」


何度やめてと言っても、か細い声は彗には届かないみたいで。


ぎゅっと抱き締められたら、後から後から滲む涙を惜しげもなく流すしかなかった。


「……俺は、凪のためならなんでもするよ」

「……」

「凪が泣かずに済むように、なんでもするよ」


あたしを包む腕の力が強くなったことで、自分が震えていることに気付く。


それほど寒いわけではないのに。むしろ抱き締められて温かいはずなのに。


あたしの心をそのまま表したような体の変化に、自嘲せざるを得ない。


そんなあたしが口にした言葉は、覚悟も躊躇いすらせずに放ったものだった。
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