僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


俺は何も言えず、ぐっと眉を寄せた。


間違ってるとか、正しいとか。凪には、サヤを想う凪には言わない。


凪がそう思うなら、俺は――…。



「ずっとサヤといたのはあたしなのに!!」


ドンッ!とベッドに押し倒され、驚きから目を見開く。


顔の左右に置かれた凪の両手は、もう震えてはいなくて。それでも俺の頬にポタポタと落ちる涙はやまない。


「あたしが悪いの? この世に愛しちゃいけない人なんているの?」


俺に覆い被さって、奥底に秘めていた想いを口にする凪に、じわりと涙が浮かぶ。


ポタ、ポタ。


雨のように落ちるそれは、決して叶うことのない、凪の想いそのものだった。


「ねぇ……教えてよ」


ぐしゃぐしゃに顔を濡らして、すがるような目で俺を見下ろす凪から、目だけは逸らさない。


「どうすればサヤのいちばんになれるの?」


俺だけは絶対、凪をいちばんに想う。


「ねぇ……なんであたしじゃダメなのかなぁ?」


ポタッと、俺の目尻に凪の涙が落ちる。


反射的に目を瞑って、再び開けた一瞬の間で、凪は微笑んでいた。


諦めともまた違う、自分の存在を嘲笑うような……。

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