僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「凪は友達多そうだよね」
「え、……そう、かな」
そうでもないと言えなかったのは、たくさんの笑顔が浮かんだから。
「あたし、寂しがりなんだ」
自分でも驚くほど、すんなりと口に出た真実。寂しいなんて、彗にしか言わないのに。
「じゃあ、僕と一緒だね」
俯きかけた顔をチカに向けると、タイミング良く吐き出された紫煙で表情はうかがえなかった。
もっとも、目深に被るフードのせいで表情は読みづらいんだけど。
「でも僕は、凪と逆かな」
「逆?」
「僕は友達多くないから」
ああ、うん。なんとなく分かる。
「狭く、深くって感じだよね」
「分かる? 狭過ぎるんだけどね」
ふふッと笑って空のケースを灰皿変わりにしているチカを横目で見ながら、羨ましいような、切ないような、なんとも言えない気持ちになる。
……チカの世界は、狭いのか。