僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……未来って、あたしとサヤの?」
「そうだよ。お前とサヤに、未来なんかねぇし。永遠なんてもんすらねぇだろ。一過性のもんだよ。そのうち捨てられるのがオチじゃねぇの?」
遠慮なしに言う祠稀を凪は見つめ、彗は口をはさまずにいる。
……サヤさんの話をすることはもう、ダメじゃないのかな?
ここまで言われて怒らない彗ですら、不自然に思えた。
「うー……ん。ねぇ、彗。どう答えればいいと思う?」
「……ありのまま言えばいいんじゃない」
凪に話を振られた彗はそう言って、凪は悩むように口元に手を添えてあたしと祠稀を見つめた。
「あたしさ、サヤとの未来とかいらないから」
「……は?」
「そ、そんなこと……ないでしょ?」
奥さんより自分を選んでほしいとか、あるでしょう?
「永遠なんていらないの。今、ほしいの」
凪が言ってることはなんとなく分かるのに、完全に理解することができない。
「永遠なんて望んでない。とっくに捨てたし。今のほうが……一緒にいられる1分1秒のほうが大事」
「……サヤのどこが、そんなにいいんだよ」
「愛してくれるから」
間髪を容れずに言った凪の表情は、真剣そのものだった。
「サヤは今、1分1秒でも、あたしを考えてくれる。あたしを、愛してくれる。それだけでいいんだ。それだけで幸せだから、永遠なんて望まないし。あたしを選んでくれなかったから憎いのもあるけど……だからこそ、永遠も未来もいらない」