僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「お前はなんでそういつも邪魔すんだよ!」
「……お腹減らない?」
「話を逸らすんじゃねぇぇえええ!」
「わー! ふたりともっ、喧嘩はダメ! ねっ!」
なんだかんだこのふたりは仲がいいと思いながらも、一応止めに入る。
すると、笑っていた凪が「そうだ」と手を叩き、全員の視線を誘導した。
「あのさ、知ってると思うけど一応。サヤのこと、パパに言わないでほしいんだ」
「「……」」
あ、そうか……。
バレたら、まずいんだもんね。
「言わねーよ。言うつもりもねぇし。つうか言ったらヤバいんだろ」
「……言、が多いよ」
くすりと鼻で笑う彗に、祠稀がイラッとしたのが分かる。あたしは慌てて止める前に、思い付いたまま口走った。
「バレたらどうなるのっ?」
……アレ? え、アレ!?
凪も彗も祠稀も固まって、あたしへ視線を注ぐ。
「な、何かまずいこと聞いた……よね?」
ていうか、祠稀と連れ戻されるかもって話してたのに! あたしのバカッ!
「ご、ごめん! なんでもない!」
「いいよ、大丈夫」
ははっと笑う凪は一度視線を落としてから、あたしに笑顔を向ける。
「この家を、出なきゃいけない」
ドクンッと、体中の血がざわめいた気がした。
そうだよ、分かってたのに。凪の口から聞くと、こんなにも重い。