僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


胸に手を添えて息を吐くと、肩の力がゆっくり抜けていく。そのまま空を見上げれば、暗雲が拡がり秋雨を予感させた。


「あ、チカにメール……」


あたしのアドレスは送ってない、と握ったままの携帯を開く。するとメールの受信画面になっていた。


画面上のスクロールに表示された名前は、彗。


時刻を見ると、19時になる直前だった。


どこにいるのって内容のメールかなと思いながら開くと、落ち着いたはずの体に緊張が走る。



ドクンッとひと際大きく脈打たれた鼓動は、携帯を持つ手さえも強張らせた。



≪早く帰っといで。

 祠稀が、話してくれるよ。≫



パラパラと降り出した雨が、地面の色を変えていく。


まるで闇が広がっていくような光景に竦みそうになるのを堪え、マンションへ走った。



祠稀の秘密が、分かる。



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