僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
語られる真実、隠された真実。
◆Side:彗
「おかえり」
雨が降り出したことに気付き、玄関で待っていた俺は用意していたタオルで帰ってきた凪の髪を拭く。
「どこに行ってたの?」
「あ、ちょっと……コンビニで、友達に会って……」
少し湿ってる前髪を手で流す凪の瞳は、視点を定めない。俺はタオルを凪の頭にかけ、空いた手で冷えた頬を撫でた。
……不安なんだね、凪。
見上げてくる凪の瞳が、揺れている。
「……大丈夫だよ」
微笑む俺を瞳いっぱいに映してから、小さく頷いた凪の手を引いてリビングへと向かう。
「おっせーよ! 何してたんだよ凪っ」
ドアを開けた瞬間、ソファーに座る祠稀がリモコン片手に声を出す。凪は目を丸くして、いつもと変わらない祠稀に驚いているようだった。
「おかえりっ! 雨降ってたけど、平気だった?」
テーブルのすぐそばで、有須がマグカップに手を添えながら聞くと、凪は頭にぁかるタオルを取りながら頷く。
「う、ん。ちょっと濡れただけ」
ぎこちない笑顔を見せる凪に有須は眉を下げて微笑み、「ココアあっためるね」とキッチンに立った。
ふいに手を握り返され、俺は黙って凪を祠稀のそばへ連れていく。