僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「別に怒ってるんじゃないの」
先生たちから命からがら逃げてマンションに着くと、あたしはソファーに座り、足元には正座する祠稀と彗。
「いや、怒ってね? 俺何回殴られたと思う、彗。10回だぞ!?」
「……寝てもいい?」
「聞けよ俺の話」
今にも寝そうな彗にプロレス技をかける祠稀。あたしが苛立ちの溜め息をつくと、隣に座っていた有須が場を和ませようとする。
「ま、まあよかったよね! 今日も捕まらなかったしっ」
「今日も! 追っかけられたのよ誰かさんのせいでっ」
「ごっ、ごめんなさい!」
「凪、顔が鬼のようだよ」
「彗く〜ん? お姉ちゃんを怒らせたいのかなぁ〜」
「もういいじゃん。喧嘩すんなよ」
誰のせいで今この状況だと思ってんの!?
そう目で訴えると、祠稀はわざとらしく肩を竦めながら、腹立たしいことにベーッと舌を出した。
あたしは今日何回目か分からない大きな溜め息をつき、4人がそろっていたら真面目な話ができないと悟る。
もう……なに考えてんのよ、祠稀。