僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


あの楽しかった夏の訪れ。4人で学校をサボって遊園地に行った日から、祠稀の様子がおかしい。


学校をサボるようになった。喧嘩するようになった。家に帰らない日が増えた。


それがダメというわけじゃなくて。好ましくないことだとは思うけど、祠稀らしいと思うのも本当で……。


「なぁーに眉寄せてんだ凪。シワ増えんぞ」


目の前で悪戯に笑う祠稀が、祠稀に見えない。


「……それは、さらに老けるって言いたいのかしら?」

「コワ! 真顔て! 空気凍ったぞ彗っ」

「……怒らせちゃダメだよ」

「ちょ、ふたり共! 今のは否定するとこだよね!?」


3人の会話を聞きながら、感じてしまう。


何も変わってないのに。問題なんて何もないはずなのに。


拭えない、不安感。


それは的外れな予感で、あたしが神経質なだけであってほしいと思う。


今のあたしは焦燥感にさいなまれて、過敏になりすぎだ。


幸せだと思える今なのに、何かを失うことに怯えているなんて。
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