僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
湯気が立ち上るマグカップを各々が手に持ち、熱い飲み物を喉に流す。
僅かな沈黙は、それぞれが換気で切り替えられた頭の中で考えを巡らせていたから。
「……せいぜい3週間くらいだろうね」
いち早く口を開いたのは早坂先生。それは、凪があたしたちの前から消える時間だとは思ったけれど。
「なんで3週間?」
祠稀が訊いたのと同じように、あたしも疑問に思った。
「なんでって……君たち大丈夫?」
頭上にクエスチョンマークが浮かぶあたしたちに、早坂先生は心底呆れたような溜め息をついた。
「もうすぐ冬休みでしょ」
「「――あっ!」」
そうだ、あと1週間もしないうちに冬休みだ……!
「連れ戻すって意気込むのはいいけど……はあ、不安になってきた」
「うるせーなっ! それどころじゃなかったんだよ!」
そうか……凪は暫く学校に来ないだろうと判断してたけど、冬休みが終わるまでの3週間は確実に姿を見せないってことなんだ。
「……じゃあ、3週間ちょっとしか凪に与えられた時間はないってことで、その先どうするかは、今の段階では考えてないってことかな」
彗が訊くと、早坂先生は頷く。
「冬休みに入るまで適当に理由をつけて、学校は休む気だよ。計画的に出ていったんだろうけど、先のことはアバウトにしか決めてない。なんとかなると思う、よくも悪くも凪の性格が出たね」
「「……」」
凪に冬休みという期間が与えられるということは、あたしたちも同じだということ。
それに少し安心したけれど、やっぱり不安のほうが勝った。
今どこかにいる凪は、睡眠薬を持ってないはずだから。
ないなら、彗や早坂先生としたように誰かと寝床を共にしなければ眠れない。
……それで本当にちゃんと眠れるのかなって、不安を感じる。
そもそも凪の家を出るという行動には、僅かな違和感を感じていた。