僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「凪ぃいい!」
まっ先に抱きついてきたのは、中学時代もっとも行動を共にした久美。
セミロングの髪はきっと黒染めしたんだろう。少し色が落ちて、赤くなっていた。
「大人っぽくなったぁ〜! 似合う! 髪!」
「久美こそ。メイク、変わったね」
笑ってから、相変わらず人懐っこい久美から視線を外す。
「みんなも久しぶり! 変わったねー」
「そら中学の時とは変わるだろ!」
「懐かしいー! 元気だった?」
男子も女子も交じった、懐かしい面々。
面影はあるけれど、多少の変化もあったみたい。背が伸びてるとか髪を染めてるとか、アクセサリーやメイクとか、見た目の変化だけど。
「ホント懐かしいなー。いきなりだったし、会えないかと思ってた」
「急でびっくりしたよ! 昨日あたしがどれだけ頑張ったか!」
「凪が帰ってくるー! って、誰よりも興奮してたの久美じゃん」
笑う男子に「うるさーい!」と言う久美は、あたしの腕に寄り添う癖も変わってない。
「凪は親友なんだから、喜ぶの当たり前じゃん!」
「お前らふたりいっつも一緒だったもんなー。何回か補導されてたし」
ぶはっと吹き出す男子につられて、あたしも笑ってしまった。
「あったねー、そんなこと。まあ遊び盛りだったし?」
「いやー見た目からして今のがひどそう!」
「人を見た目で判断しないでくださーい」
あたしを含めて女子3人に男子ふたり。中学の時よく遊んでいた5人は、あの頃と変わらず今も笑い合える。
「てか寒い! どっか入ろうよ〜」
「タンマ! 電話きた」
「あー、やっとぉ? 遅刻した罰で奢らせてやる」
「……遅刻?」
あたしの呟きを聞いた久美は、楽しそうに口の端を上げた。同時に耳に入った声は、電話に出た男子の声。
「優太ぁ! ここ!」
頭上に掲げた手を左右に振る男子の視線の先。こちらに向かってくるのは、見覚えのある顔だった。
「えっへへ〜。呼んじゃった!」
「……久美、変わってなさ過ぎ」
溜め息混じりに苦笑して、あたしは優太を見つめた。
――本当に面白いくらい、予想通りのことをしてくれる。