僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「えー! 超楽しそう! 何人?」
「男女半々で4人」
「「え!?」」
……ああこれは、変な想像されちゃうパターンか。
「男と住んでんの!? 写メないの、写メ!」
「ええ〜、いいなあ! 遊び放題じゃん!」
「ちょっと! 変な想像しないでくれる!? ホント何もないし、いたって健全な同居だから!」
それぞれが興奮するのを止めると、みんな不満そうに口を尖らせる。
「でもさ〜1回くらい、一夜のあやまち的なのあるでしょ? ないの?」
「だーっ! ないって! そういう関係じゃないし!」
本当に久美は相変わらず過ぎる。
男子の前でよくもまあそんな話題……いや、あたしもここにいるみんなも、同じようなもんだからつるんでたのか。
「そもそも、男子の片方はいとこだし」
「えっ!? そうなの!?」
「そうですよー。てか、飲み物。あたし水ヤダ」
話の途中で立ち上がると、「逃げたー」とか好き勝手騒ぐところも変わってない。
あたしは適当に流しながらドリンクコーナーへ向かう。グラスをひとつ取り、ココアのあるサーバーを探した。
「いまだに好きなんだ」
振り向かずに顔を上げて微笑んだのは、ドリンクコーナー周りの壁がガラス張りになっているから。鏡越しに、後ろに立つ優太と目を合わせた。
「好きだよ? 飲み物では、いまだにココアが一等」
微笑みながら目を伏せると、優太はココアのボタンを押すあたしに「つか、まだ注文してないだろ」と分かり切ったことを言う。
「どうせ久美たちが注文するでしょ。優太は? ウーロン茶?」
「……んー」
あれ、緑茶と悩んだけど当たってたかな。
新しいグラスを2つ用意し、ウーロン茶とオレンジジュースを注ぐ。
隣で優太も他の3人の飲み物をグラスに注いでいるが、変な空気だ。
距離感を測りかねてるっていうか……。
でもきっと、聞いてくる。
中学の頃と変わっていなければ。
あたしに対して何かを感じているのなら。
「いとこって、彗ってやつ?」