僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「さぁ……お互い好きなら、自然になるようになるんじゃない?」


フーッと息を吐いて熱すぎるココアを冷ますと、みんなの口が動き出す。


「だよな!? ほら見ろ! 俺間違ってねぇじゃん!」

「いや、アンタのはただのヘタレ!」

「アタシはガッついてほしいけどなぁ」

「お前のはヤりたい盛りっつーんだよ」


自分たちの主張を曲げない友人たちに「まあまあ」と久美が仲裁に入る。


「凪の言う通り、なるようになるでしょ」


うまく纏めたのか、そうではないのか。みんなは納得したり、まだ不満そうな顔をしたり様々だ。


あたしは、別にどっちでもいいと思ったから、なるようになると言っただけだ。


それに、焦った分だけボロが出そうで嫌。焦って逸る気持ちを押さえ込めば、その分考えられる。その分確実なゴールにたどり着ける気がする。


……失敗続きだったあたしが言えることじゃないけど。


だからこそ、もっとちゃんと考えるんだ。あの頃のあたしはよく考えていたつもりでも、今思えば僅かな焦りが残っていた。


感情に左右される前に、頭でちゃんと考えなきゃ。


「……まあ、あんまり焦らされると何コイツって思うけど」

「はー!? 凪、おま…っ、結局どっち!?」

「ぶはは! お前まじヘタレ!」


逆ギレを始める友達にみんなが笑い、あたしは口に含んだココアをおいしくないと感じた。


――またか。


目の前で繰り広げられる同い年の恋愛話がふつうだと思うのに、とても遠くに感じる。


お互いの気持ちが通じ合って、付き合って、経験を重ねるという形をすっ飛ばしてきたからなのか。


それとも形だけの恋愛と、体だけの関係を続けてきたからなのか。

「……」

ドロッと、胸の奥から何か吐き出される感覚。外に出たはずなのに、それは体内を廻って廻って、またあたしに染み込んで消える。


毒であればジワジワと命を削ってくれるのに、それはただあたしをいたぶるだけ。


ずっと受け流してきた感覚は今も、なんの意味も持たない。
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