僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「凪? ……大丈夫?」


隣に座る有須の手が太ももに触れて、顔を覗かれていることに気付いた。


「あ、うん。……なんか、疲れたっぽい」


へらっと情けなく笑うと、有須は心配してくれたのかあたしの額に触れた。


「熱は……ないみたいだね」

「ふは! 風邪じゃないし!」


優しさがおかしくて笑うと、有須は「あるかなって思ったんだもん」と頬を膨らませてしまう。


かわいいなぁ……。ほんと、綺麗な顔してるくせに、中身は全くかわいくない誰かさんとは大違い。


「大丈夫だよ。どっかのバカな誰かさんに走らされて疲れただけ」

「え? 誰それ俺分からなーい」

「……祠稀、枕元に気をつけて…」

「は!? 何!? 生き霊は勘弁!」

「え!? 凪って生き霊になれるの!?」


……なれませんけど。


突っ込む気力すら湧かないでいると、祠稀が立ち上がり「便所ー」と言いながらドアに向かった。


「……」


右手で左肩をほぐしながらリビングを出た祠稀の姿を見てから、あたしも立ち上がる。

< 7 / 812 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop