僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「凪? ……大丈夫?」
隣に座る有須の手が太ももに触れて、顔を覗かれていることに気付いた。
「あ、うん。……なんか、疲れたっぽい」
へらっと情けなく笑うと、有須は心配してくれたのかあたしの額に触れた。
「熱は……ないみたいだね」
「ふは! 風邪じゃないし!」
優しさがおかしくて笑うと、有須は「あるかなって思ったんだもん」と頬を膨らませてしまう。
かわいいなぁ……。ほんと、綺麗な顔してるくせに、中身は全くかわいくない誰かさんとは大違い。
「大丈夫だよ。どっかのバカな誰かさんに走らされて疲れただけ」
「え? 誰それ俺分からなーい」
「……祠稀、枕元に気をつけて…」
「は!? 何!? 生き霊は勘弁!」
「え!? 凪って生き霊になれるの!?」
……なれませんけど。
突っ込む気力すら湧かないでいると、祠稀が立ち上がり「便所ー」と言いながらドアに向かった。
「……」
右手で左肩をほぐしながらリビングを出た祠稀の姿を見てから、あたしも立ち上がる。