僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


彗と、有須と、祠稀と……チカと、大雅に遊志。


怒っては泣いて、泣いては苦しんで。解り合えない部分はもちろんあって、それでも最後には笑っていた。


もがいて、足掻いたっていいから。壁にぶつかったら、うがってでも前に進みたい。


怖いけど、不安だけど。傷だらけになって、ボロボロになってもいいよ。それでも人は立ち上がれると、あたしは教えてもらったから。



「……凪がそうでも、みんなも同じとは限らないよ?」

「分かってる」

「有須ちゃんや祠稀くんと、彗だって……ずっと一緒ってわけにはいかないんだよ?」

「それでもいい」


寂しいけど、そう思えるからこそ、みんなと毎日を過ごしたい。いつか離れてしまうその時に、笑えるように。


「……分かった」


あたしが握っていたはずの手を、いつの間にかサヤも握り返してくれていた。キュッと握られた手に、鼻の奥がツンとする。


「高校を卒業しても、向こうに残りたいと思ったら、あの家は凪の好きにしていい。手放したっていいよ」


奥歯を噛み締めて、浮かんだ涙を我慢した。


「向こうで凪が頑張るなら、俺はここで頑張る。いつか凪が帰ってくるのを、待ってるよ。……約束は、いらない」

「……っ」


溢れないで。零れないで。

まだ、ある。言わなきゃいけないことがある。



「逢いにくるから……っ」

「……」

「卒業したらここに、帰ってくるって……約束はできないけど……でも、逢いにくるよ」

「うん……」

「だから……逢いたいと思ったら、遊びに来てね。あたしも呼ばれれば、来るから……」



泣くな、泣くな。

泣くことなんかない。


振り返らずに、前へ進むと決めた。


心が今もまだ、サヤを追い求めていたって。

未だ消えない想いに、切なさを募らせても。


歩き出せる。自分を信じられる。


あなたがあたしを、見ていてくれるなら。

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