僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「なんで、今さら……」
帰ってきてとか、戻ってこいなんて、一文字もない。
それでも、とても、とても、遠回しに。何も変わっていないと、待っていると、伝えられていた。
あたしが読んだのは彗のメールだけだから、本当に前と一緒かなんてわからないけど。彗のメールは前の時と少し違う。
前はなかった、添付された写真。
彗が作ってくれた、7人の雪だるま。
……最高の、誕生日プレゼントかもしれない。
携帯をしまい、エレベーターのボタンを押す。すぐにドアが開いて、あたしは軽く目尻を拭ってから無人のエレベーターに乗り込んだ。
閉と7階のボタンを押してから大きく1歩後ろに下がると、ドアは閉まり籠は上昇し始める。
出入り口の上枠に取り付けられた乗場インジゲーターをぼんやり見上げていると、1から2に変わった。
7階に着いた頃には、ドキドキと高鳴る鼓動は落ち着いていてほしい。
きっと1階上がるたびに、脈は速くなってしまうと思うけど。
みんな、家にいるのかな。リビングに集まって、談笑でもしてるのかな。あたしが帰ってきたら、どんな顔をしてなんて言うんだろう。
彗は、有須は、祠稀は……。
今までのことを思い返すと、容易に想像できて、少し笑ってしまう。
ポン、と軽快な電子音が鳴り、7階に着いた。開いたドアを通り抜け、供用廊下を突き進む。
足取りは軽い。
体の内から鳴る鼓動は、高揚感。