僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
あたしたちのゴールは、どこなんだろう。死ぬまで分からないかもしれない。
生きて、死ぬ。ただそれだけのことなのに、どうして途方もなく、難しく感じる時があるのか。
だけどあたしはそのたびいつも、何かに守られてるような、包まれてるような気分になる。
温かく、優しく、甘やかなそれは、ひっそりと胸の奥に隠れて見えはしないけれど。
湯気が立ち上るココアや、仲良さげに歩く学生や、雪の積もったベンチを目にするたびに感じていた。
つらく悲しい時に、いつも心の隅っこに寄り添ってくれていたんだ。
寂しいと思うことは幾度となくあっても、あたしは決して、ひとりじゃなかった。それが力になって前へ進む勇気になっていたなら。今のあたしはこれからも、歩いていくしかない。
「どうなっても知らないからね」
言いながら立ち上がると、みんな危機感なんてこれっぽちもないように笑った。
「何もないかもしれないよ?」
「何かあるかもしれないけどね」
彗と有須が言うと、祠稀が悪戯に口の端を上げる。
「どっちでもよくねぇ? まあ……俺らみたいなのが来たとしても、いいね。楽しくなりそうじゃん」
あのマンションに来た日と同じようなことを言う祠稀は、本当にそう思ってるんだろう。
今までのことを思い返すと、どんな表情をすればいいのか、まだ戸惑いが残る。
楽しいことばかりだった。楽しいことばかりじゃなかった。
不平や不満もなく、楽しくて嬉しくて、満ち足りた時もある。
何かに悲しんだり、怒ったり、驚いたり、恐れたり、誰かを憎み嫌って、蔑んだりした時だってあった。
口を噤んでは黙り込んで、口を開けば言い争って。いつだって笑いながら、泣きながら、過ごしていた気がする。
……そんな日々も過ぎて、思い出になって。きっと薄れて、忘れていくんだと思う。
だけど忘れても、それらを通り過ぎて、今を生きる自分が残ってる。