僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……じゃあ、本当の本当に探しちゃうからね」


あたしが口にした言葉に、みんなは楽しげな声を上げた。


「俺、和風な家がいい」

「あ、彗に賛成。あたし和室欲しいなぁって思ってた!」

「一軒家? 平屋? まあデカけりゃなんでもいいだろ」


言いながら祠稀が立ち上がろうと腕に力を入れると、ギシッとベッドが軋む。


彗は有須に愛を抱っこさせ、ベッドに纏められた荷物を確認し始めた。


「楽しみだねぇ」


眠る娘に問いかけるように、微笑む有須は未来を想像してるのかな。あと何年かかるか、正直分からないんだけれど。


「あー、あとリビングも広いほうがいいよな」


どうせ祠稀はゲームしかしないくせにと心の中で突っ込んでいると、荷物を肩にかけた彗が「広いのもいいけど」と、まだ何か付け足したいらしい。


「掘りごたつとかあると、すごくいいと思う」

「彗、お前そんなんあったら寝て動かねぇだろ……」


そんな会話に有須が笑いながら立ち上がり、あたしはできるだけ3人の要望に答えた物件を探そうと思った。


とりあえず今日はこのまま4人でウチに帰って、パパと緑夏ちゃんと宙も交えてご飯を食べる予定。


そしたら、今までのこと、これから先のことでも話すんだろう。


込み上げた喜びそのままに、あたしはみんなに微笑んだ。



今日も明日も、この先ずっと。途方もない道のりのようだけれど、大丈夫。


迷いながらでも、つまづきながらでもいいから。


彷徨うように、生きていく。



「行こう」




――さあ、次はどっちだ。



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