僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
生き方が分からなかった。それでもここで生きていたかった。
愛し方が分からなかった。それでも誰かを愛していたかった。
信じられるものがなくて、それでも何かを信じたかったあたしたちの泣き声は、今でも聞こえる気がする。
「全員高1で男ふたりに女ひとりか。つーか男の片方、俺の生徒になるんですけど」
「どど、どうしよう……! 緊張してきたよね!?」
「ねえ、愛が寝てる間にお風呂の準備したほうがいいかな……?」
騒がしいリビングに、インターホンが響き渡る。いち早く反応したあたしは畳を踏み締めて、少し軋む廊下へ出た。
木造の平屋は廊下が異様に長い。だから余計に、リビングから玄関に向かうまでの間、鼓動は速く大きくなっていった。
相手も確認せずに、横に押し開けるタイプのドアを開ける。
カラカラと音を立てて開いたドアの先には、3人の男女が立っていた。
「こんばんは! 改めて、今日からここに下宿させてもらいます、淀橋 新でっす!」
「中津 禎哉です。今日からお世話になります」
「……須藤 蘭です」
明るく元気が取り柄のような男の子と、頭がよさそうで少し影がある男の子に、気が強そうで素っ気ない女の子。
「いらっしゃい。……待ってたよ」
そう言ったあたしに、笑顔と無関心と疑いがひとつずつ。
「おーおー。面白そうな奴らが来たなー」
廊下からこちらに向かってきたのは祠稀で、その後ろには彗と有須の姿。