僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「さっき路地裏でリンチしてるとこ見かけちゃってさぁ~」
「マジで? もしやまた威光じゃねぇの?」
派手なドレスと黒いスーツに身を包んだ男女と、すれ違った。
俺はとっさに振り向き、露出された寒そうな肩を掴む。
「きゃ! 何っ……やだ、イケメン」
「なんだお前」
驚いたように振り向いた男女を、食い入るように見つめた。
「……今の話、詳しく聞かせてください」
不思議そうにする男女に話を聞き出して、俺は教えてもらった場所へと走った。
8人ほどの男たちが、ふたりの男をリンチしていたという、路地裏へ。
まだいてくれと思いながら、それが闇夜の威光であるように願いながら。
そこに、祠稀がいないことを祈った。