僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……仲間になりたいわけじゃない」
フードの男の子は「ふぅん」と返しながら、パーカーのポケットに手を突っ込む。
首を傾げて、見上げるように俺を見つめた瞳に、生唾を飲んだ。
影を落とした顔から覗く、鋭い瞳。掴みどころのない雰囲気の中に混じる、凛とした空気。
……祠稀に、似てる。
「じゃあ、何の用? 誰かの仕返し?」
俺はジャケットの袖を捲り上げて、フードの下から覗く瞳をまっすぐ見つめる。
「……君たちのリーダーを、消しに」
いちばん手っ取り早い方法を取った。
案の定、フードの男の子は1歩下がって、3人の男がボキボキと指を鳴らしながら向かってくる。
俺はただ突っ立って、振り上げられた拳よりも、フードの男の子を見ていた。
路地裏に鈍い音が響き渡った深夜0時。
凪からの着信音が、痛いほどに胸を締め付けた。