僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


『根性試したんだって』


心配になったあたしに、彗は照りつける太陽の光に目を細めながら教えてくれた。


彗の傷を見たあとに、祠稀は『俺のほうがグロい』と見せてくれたらしい。少しの躊躇もなく、笑いながら傷を見せてくれた、と。


根性焼きと呼ばれるそれは、祠稀にとってどんな意味があるのか分からない。


いつやったの?
どうしてやったの?


聞きたいのに、言葉は鉛のように重くて。込み上げるのに、紡ぐことはできなくて。


そんな状態が続いたあたしに、彗は眉を下げて微笑んで、抱き締めてくれた。


何も言わずに、眠りにつくまで。あたしの過度な心配を取り除くまで、ずっと。


それなのにあたしは今も、考えてしまっている。


あの根性焼きは中学の時にやったのかな。不良っぽい祠稀ならありえるけど、なんで?


かっこつけたいから? 本当に根性試しただけ? それとも理由なんてない?


「……んで、あたしは……」


なんであたしは、こうなんだろう。


うんざりだ。

この、執拗すぎるあたしの思考。



彗が、心配してる。


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