僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
―――…
「ゲホッ……クソ……ッ」
俺の目の前には、ただひとり咳き込む男の子。それ以外は全員、地面に倒れていた。
誰ひとり逃げ出さずに最後まで敵意を向けてきたことには、ある意味感心する。
切れた口の端から出た血を拭うと、目の前に立つフードの男の子がよろめいた。
「な、んなんだよ……アンタッ」
悔しそうな、泣きそうな声。
俺が、向かってきた男たちを次々と薙ぎ倒すと、傍観していた彼が向かってきた。
弱くはない、決して。
ただ、俺のほうが強かっただけ。
「……リーダーの場所を教えて」
「イヤだね!」
空気を裂いて向かって来た拳を、腕ごと上へはらった。そのまま、無防備になった腹部に蹴りを入れる。
「……君を殴りに来たんじゃないのに」
おぼつかない足で、倒れまいと踏ん張る男の子に、できればもう手も足も出したくない。
「居場所を知りたいだけなんだ」
「うるっさい……!」
それでも向かってくる男の子を避けて、みぞおちに拳をめり込ませた。ガクンッと足を折った男の子は、ズルリと俺の胸に倒れこむ。