僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……ごめ、……っ!」
肩を支え、謝ろうとした時。目に入ったもののせいで全身に鳥肌が立った。フードがずれた男の子の顔を、はっきりと見てしまったから。
やっぱり幼い。そう思うとほぼ同時に、こめかみよりも少し上、額の端にある切り傷のあとが、あまりに痛々しかった。
「……この傷」
どうしたの? そう聞こうとした瞬間、「チカ!」と叫ぶ声。
ドスン、と。重いものが胸に落ちたような気分だった。
「何してんだテメェ!!」
背後から空気を裂く音が聞こえ、俺はそれを、背を向けたまま腕で受け止める。
ビリッと電気が走るような痛みを我慢して、すぐに相手の手首を掴んだ。
「……何してるの?」
「!」
暗闇の中では、願いは届かないのだろうか。
振り向くと、漆黒の髪に交じる蒼が月明りに照らされ、困惑に揺れる瞳が、俺を見ていた。
「何してるの、祠稀」
「……、彗……?」
返答によっちゃ、俺は祠稀を許さない。
例え凪が許しても、凪を傷つけるならば。