僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「何してるのって聞いてるんだよ、祠稀」
立ちあがって、祠稀の手を払う。
今怒っても仕方ないのに、湧き上がってしまった怒りを抑えることができない。
祠稀は暫く驚いたように俺を見つめ、視線を落とした。チカと呼んだ、男の子に。
「お前こそ、何してんだよ」
「……人から金巻き上げて、楽しい?」
「……関係ねぇだろ」
否定、しないんだ。
「こんなことして、何になるの?」
大雅が言っていたことは、全部本当なの? 何してるの?
何してるんだよ、祠稀。
これが、こんなことするのが……本当の祠稀だって言うの?
「お前らには、分からねぇ」
しゃがみ込んで気絶したチカの頭を撫でる祠稀は、俺だけじゃなく、ここにいない凪と有須までも拒む。
俺の顔を見ようともしない祠稀の瞳には、チカしか映っていない。