僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
「……なんで?」
どうして、祠稀。
必要だと、思ってほしいわけじゃない。
信じてほしいと、思ってるわけじゃない。
ただ、俺たちの絆は確かにあると。そう、思わせてほしかった。
「帰れ。話すことなんてない」
祠稀はもう、それすらも否定したいんだね。
「……祠稀」
向けられた背中に呼び掛けると、祠稀はゆっくり振り返る。
俺を見上げる瞳は、家で見せるものとは全く別のものだった。
「俺たちは、祠稀の何?」
眉を下げて、口の端を僅かに上げて言う俺に、祠稀は目を見張る。
紡げる言葉がもう何もなくて、その言葉を最後に、俺は路地裏を去った。
悔しさと悲しさが入り混じる中、このことは、凪には絶対に言わないと、心に誓って。
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